第一章-2 お金は信用されなくなるとハイパーインフレを起こす

◆お金は信用されなくなるとハイパーインフレを起こす【重商主義下では】

さて、その信じていたコインが国民人々があれ!?と信用しなくなっていった事が起こります。紀元後200年を過ぎた頃の古代ローマ帝国です。

古代ローマ帝国は、シーザーが暗殺され(ブルータスお前もか!?という有名な言葉を放ったシーザー)その甥のオクタビアヌスが初代ローマ帝国皇帝となります。彼は尊厳者という代名詞のアウグストゥスという名を名乗り、強きローマ帝国を率いていく事となります。優れた政策、国家体制によって領土は拡大し、650万㎢の領土(現在の日本の約17倍)を誇ります。現在のイギリスの北部までほとんどのヨーロッパを支配することとなりました。が、その広大な領土を維持する軍隊への出費、度重なる諸外国との争い、国内経済の悪化によって、財政が悪化していきます。財政が悪化するという事は、金貨銀貨というお金自体が諸外国に流出することを意味し、国家にお金が少なくなってしまう、または実際に国内で使われるお金の量が少なくなる事を意味します。この財政に頭を悩ませ続けるローマ皇帝達が取った施策(戦略)は、貨幣の銀の含有量を落とすことでした。これは貨幣の銀の純度を薄めることになりますから、決められた銀の量に対して、より多くの貨幣=お金を作り出すことが可能でした。最初は国民達も気づかなったようですが、徐々に重さや質が明らかにおかしいことに気づきだし、その貨幣の価値に疑問を持ち、インフレが起きていきます。

今までは銀貨1枚で買えたパンが、貨幣の価値が落ちるわけですから2枚でパン一個になり、3枚になり・・・というインフレです。そして、純度が10%にも満たない銀貨となり、誰もその銀貨を信用しなくなり、ハイパーインフレを起こします。

ハイパーインフレとは、物の価格が極端に高くなること=貨幣価値が大きく下がる事
ですから、持っている金貨銀貨という資産が大きく目減りすることとなります。
例えば、今現在に例えると、100万円溜めていた1万円札×100枚が、価値が下がり、実質1万円くらいの価値になってしまう事です。
もう少し具体的に言うと、100万円の価値=軽自動車1台としましょう。それが持っていた現金が1万円の価値になってしまうという事は、100万円持っていても、自動車やバイクの購入どころではなく、レンタカー1日借りるくらいの価値しかなくなってしまった・・・1/100の価値になってしまったという事です。
そしてこれは資産を持っていればいるほど損する金額が大きくなるという事になりますので、ですからお金ではなく現物を持っておこう、とか外貨を持っておこうという資産分散の考え方が重要になってくるという事ですね。

さて古代ローマ帝国は、こうして経済が理由で滅亡していく事になります。

よく、戦いに負けたからとか、公共投資をし過ぎたとか、ローマ市民が遊び過ぎたからとか言われることがありますが、国家の崩壊はそのほとんどが、マネーの崩壊で滅びます。前述の内容はその結果です。お金が国家に無くなるわけですから、国は軍隊に支払いが出来ません。これが重商主義の最大の弱点だと言えるかと思います。軍隊に支払いが出来ないと、隣国が攻め入ってきても、軍隊は働きません、逃げる一方になります。ですからお金=国力といっても過言ではありませんでした。ですから当時の国王達は必死になって金山銀山を掘り当て貨幣を鋳造していたことはご想像の通りです。

そして、お金はただの“もの”ですから、一旦信用されなくなると、大きな混乱を招き、それは国民の資産が消えてしまうという事になります。=ハイパーインフレ―ション