2026/2/28にホルムズ封鎖から70日。物価は上流(エチレン・ナフサ)が2倍に急騰し、中流(化学・包材)が+30〜75%、下流(食品・建材)が+15〜40%と段階的に伝播中。最頻シナリオ(確率30%)では2026年10月にコアCPI +9.5%に到達 ── 2022年欧米のインフレ水準と同等。
下振れシナリオ④+Dは合計確率25%(4回に1回) ── オイルショック級のCPI +14.5〜+19.0%が現実化する確率。これは1973-74年第1次オイルショック並みの物価上昇率を意味する。
★ 5/14-15 米中首脳会議(Trump-Xi 北京)がIran/Hormuzを議題に開催。サミット結果次第で原油は$80台への急落 or $130-150への急騰の二方向に大きく振れる。本資料はこの分岐点直前のスナップショット。
① 最頻シナリオでCPI +9.5% ── ホルムズ封鎖が6月末まで続く場合(確率30%)、2026年10月にコアCPI +9.5%に到達。これは2022年に欧米が経験したインフレと同等の水準。
② 下振れ確率25%(4回に1回) ── 封鎖が9月末以降まで長期化する場合、CPIピークは +14.5〜+19.0%。1973-74年第1次オイルショック並み。
③ 上流価格は既に2倍 ── アジアスポット(エチレン)は$350→$700(2倍)、ナフサ$1,061(5/2大景化学・MOU合意接近で$1,190から-11%下落)。物価への伝播は今後本格化する段階。
5/14-15 トランプ・習近平 北京会談でIran/Hormuzが議題の中心。中国はHormuz石油の世界最大バイヤー、米国は中国に対イラン圧力を要請。金融市場は「解決ターニングポイント」と織込み中(5/6 株式記録的高値+原油-$10急落)。
サミット結果次第で原油価格は$80台への急落(合意成立) か $130-150への急騰(決裂) の二方向に大きく振れる。これがCPI予測の最大の分岐点となる。
| 月 | ① 3ヶ月封鎖 5月末解放 |
② 4ヶ月封鎖 6月末解放 |
③ 5ヶ月封鎖 7月末解放 |
④ 7ヶ月封鎖 9月末解放 |
D 解放されない 10ヶ月+ |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026/3 確定 | +2.0% | +2.0% | +2.0% | +2.0% | +2.0% |
| 2026/4 | +2.5% | +2.5% | +2.5% | +2.5% | +2.7% |
| 2026/5 | +3.2% | +3.2% | +3.2% | +3.2% | +3.5% |
| 2026/6 | +4.5% | +5.0% | +5.2% | +5.5% | +6.0% |
| 2026/7 | +5.5% | +6.5% | +6.8% | +7.3% | +8.2% |
| 2026/8 | +6.5% | +7.5% | +8.2% | +9.2% | +10.7% |
| 2026/9 | +7.3% PEAK | +8.5% | +9.5% | +10.8% | +12.7% |
| 2026/10 | +7.0% | +9.5% PEAK | +10.5% | +12.3% | +14.7% |
| 2026/11 | +6.7% | +9.3% | +11.3% | +13.3% | +16.5% |
| 2026/12 | +6.4% | +8.9% | +11.5% PEAK | +14.3% | +17.8% |
| 2027/1 | +6.0% | +8.5% | +11.2% | +14.5% PEAK | +18.7% |
| 2027/2 | +5.7% | +8.2% | +10.9% | +14.3% | +19.0% PEAK |
| 2027/3 | +5.5% | +8.0% | +10.5% | +13.8% | +18.5% |
| 2027/6 | +4.8% | +7.3% | +9.8% | +13.5% | +18.0% |
| 2027/12 | +3.5% | +6.0% | +8.5% | +12.5% | +17.5% |
| 2028/12 | +1.5% | +3.5% | +6.0% | +10.5% | +16.0% |
① 起点+2.0%: 2026/3のコアCPI(補助金抜き素値)。政府発表+1.8%に補助金寄与-0.2ptを戻した「真水」の値。
② ピーク値が「物価上昇のピーク水準」: 各シナリオで物価上昇率(前年比)が最大になる時点の値。最頻シナリオ②なら2026年10月に+9.5%でピーク。
③ 戻りは緩やか: 価格下方硬直性により、ピーク後の戻りは月-0.05〜-0.2pt程度。長期化シナリオD(確率5%)では2028年でも+16%水準が続き、新常態が定着する可能性。
ホルムズ封鎖による供給ショックは、まず上流(原油・ナフサ・エチレン)を直撃し、そこから中流(化学・樹脂・包材)→下流(食品・建材・日用品)→サービス(外食・交通・保険)へと4-6ヶ月かけて段階的に伝播する。各階層で値上げ率は減衰するが、消費者の生活コストへの影響は下流とサービス層で顕在化する。
| 階層 | 業界・製品 | 値上げ率 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| 上流 | エチレン(アジア市況) | +100%(2倍) | $350→$700/トン(2026/4) |
| 上流 | 原油 Brent | +75% | $65→$108(5/8時点) |
| 上流 | ナフサ(日本着スポット) | +77%(2倍弱) | $600→$1,061(5/2大景化学) |
| 中流 | PE(旭化成) | +120円/kg以上 | 4/1出荷分から |
| 中流 | 塩ビ(信越化学) | 累計+30〜40% | 4/1+30円/kg→5/11+30円/kg(2回目) |
| 中流 | 酸化エチレン(三菱ケミG) | +130円/kg以上 | 5/1納入分から、洗剤・界面活性剤に転嫁 |
| 中流 | シリコーン(信越化学) | 全製品+10%以上 | 2026/5実施 |
| 中下流 | 食品包材(グンゼ) | +30% | 野菜用フィルム等 |
| 中下流 | 断熱材(カネカ) | +40% | ポリスチレン原料 |
| 下流 | エアコン(パナ) | 最大+40% | 4/1実施、住宅設備用 |
| 下流 | 建材・床材(サンゲツ) | +18〜30% | 7/1実施予定 |
| 下流 | 加工食品(平均) | +15% | 5月70品目→6月906品目→7月952品目で本格化 |
| サービス | 外食(マック・すき家) | +10〜60円 | 2026/2-3月実施 |
| サービス | JR東日本 | +7.8%(普通)/+12%(定期) | 2026/3/14実施 |
各階層の値上げ率は 上流+75〜100% / 中流+30〜75% / 下流+15〜40% / サービス+5〜10% と、波形理論の階層別減衰モデルとほぼ完全に整合。これがCPIピーク予測の骨格データ。
注目すべきは下流の伝播タイミング: 食品値上げは5月70品目(4ヶ月ぶり100品目下回る)から6月906品目・7月952品目へと加速。下流の本格的な値上げラッシュは6月以降(包装・資材要因69.9%が過去最高ペース)。
2022年(ウクライナ戦争)の日本コアCPIピークは +4.0%(2022/12)。2026年(ホルムズ封鎖)の最頻シナリオ②でのピークは +9.5%、シナリオDなら +19.0%。過去比2-3倍規模の物価ショックが起こりうる構造になっている。
政府方針(2026/4/27〜30時点):
しかし、本資料の確率加重期待値ベースでは:
政府発表通りに「通常運転」を続ければ、確率加重で年18%の供給不足が発生 ── 民間在庫取崩し・無計画な節約・物価3桁上昇のいずれかで埋めることになる。「政府が動いていない=安全」ではないことを理解する必要がある。
シナリオ④(9月末解放、確率20%)とシナリオD(解放なし、確率5%)を合計すると 確率25%(4回に1回)。この場合、CPIピークは+14.5〜+19.0%に達し、1973-74年第1次オイルショック並みの物価上昇が現実化する。
これは「あり得る悲観シナリオ」ではなく、4回に1回起こる確率の現実的レンジ。資産防衛の観点では、最頻シナリオ②(+9.5%)だけでなく、下振れ25%への備えも必要となる。
本資料の予測は、以下のイベントの結果次第で大きく動きます。それぞれのイベント発生時に、CPI予測のシナリオ確率分布が変動する可能性があります。
| 日付 | イベント | 意味と影響 |
|---|---|---|
| ★★★ 5/10-12 | イラン最終応答(MOU署名可否) | 米イラン14ポイントMOU(覚書)の最終署名タイミング。決裂時はシナリオD側に確率分布が即時シフト、原油$130-150急騰。 |
| ★★★ 5/14-15 | 米中首脳会議(Trump-Xi 北京) | Iran/Hormuzが議題の中心。合意成立で原油$80台急落・①シナリオ直行、決裂で$130-150急騰・③④Dシナリオに確率移動。本資料予測の最大の分岐点。 |
| 5/22 | 4月全国CPI実績発表 | 予測の妥当性検証。本資料は4月+2.5%(全シナリオ共通)を予測。実績が予測を上回る場合は伝播率係数を上方修正。 |
| 5/29 | 5月東京都区部CPI速報 | 5月の立ち上がりカーブ検証。本資料は5月+3.2%(②シナリオ)を予測。早期検証指標。 |
| 6月中旬 | ガソリン補助予備費枯渇判断 | 2025年度8,000億円積み増しの予備費が6月に枯渇する民間試算。縮小・終了なら+0.2〜0.4ptの追加押し上げ、補正予算で延長なら波形に影響なし。 |
| 6/15-16 | 日銀金融政策決定会合 | 4月会合は利上げ見送り。6月利上げの可否で円相場が大きく変動。150円台 or 160円台再挑戦の分岐点。 |
| 7月以降 | 化学メーカー2回目値上げの本格化 | 塩ビ(信越化学)既に2回目実施、その他化学品も同様の動き。第2波の本格反映のタイミング。 |
| 夏-秋 | 食品メーカー6月906品目超え | TDB予測通り下流伝播の本格化。「包装・資材」要因69.9%が過去最高ペース。下流ピーク値の検証指標。 |
本資料は、ホルムズ封鎖から70日経過した現時点での「物価がどこまで上がりうるか」のシナリオ別月次予測です。5シナリオ × 月次推移を確率分布とともに提示することで、「最頻ケース」と「下振れリスク」の両方を可視化しています。
政府は「節約不要」と発信していますが、実態は本来年18%の節約が必要なほどの供給制約。この乖離が今後どう埋まるか(民間在庫取崩し・無計画な節約・物価上昇のいずれか)が、向こう半年から1年の経済の最大テーマです。
本資料は週次で更新します。上記の監視ポイントの結果が判明し次第、シナリオ確率分布を再校正し、最新版を会員の皆様にお届けします。