UNIVERSAL COIN × NAPHTHA INTELLIGENCE

ナフサ・日本
供給シミュレーション

ホルムズ封鎖から70日 ─ 5シナリオで見る日本のナフサ供給
最頻シナリオでも夏まで4-7月の不足が物理的に確定
2026 . 05 . 10
◆ MOST LIKELY
最頻シナリオ② 確率30%
6月末
中東ナフサ供給解放(原油版②と整合)4-7月の4ヶ月間で累計▲293万kL不足──最頻シナリオでも夏前に物理的不足が確定。
◆ PEAK SHORTAGE
4-7月の必要節約率(最頻シナリオ②)
25%
最頻シナリオで 4月62%→5月68%→6月75%→7月91%の充足率推移。最深部の4-5月は25-38%の節約が必要──第一次オイルショック級。
◆ EU JET FUEL
欧州ジェット燃料 臨界閾値割れ
6月
欧州在庫が IEA 23日臨界を割る見込み。ナフサと同じ「真っ先に枯渇する燃料」──日本ナフサクライシスの前哨戦として欧州で見える化
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EXECUTIVE SUMMARY

5/10時点の現状認識と本資料の核心
KEY MESSAGE

最頻シナリオでも夏前に物理的不足が確定 ── 政府「年越し可能」レトリックの裏で 4-7月の累計▲293万kL不足

2026/2/28に始まったホルムズ封鎖から70日。5/6に米イラン14ポイントMOU(覚書)が大筋合意間近と複数報道。Rubio国務長官は5/5に「Operation Epic Furyは終了した」と公式宣言。5/14-15 米中首脳会議(Trump-Xi 北京)でIran/Hormuzが議題の中心となる予定。金融市場は「解決ターニングポイント」と織込み中。

本資料は5シナリオ確率加重で日本のナフサ供給を試算。最頻シナリオ②(確率30%・6月末解放)でも、4月から解放開始の7月まで4ヶ月間で累計▲293万kLの不足が物理的に発生──最深部の4月は充足率62%(38%節約必要)、5月68%、6月75%。一方で政府は4/30に「ナフサ年越し供給可能」と表明し、節約呼びかけはなし。

下振れシナリオ④+Dは合計確率25%(4回に1回)。MOU合意接近で-10pt縮小したが依然高水準。シナリオ④(9月末解放)では4-10月の7ヶ月不足、累計▲490万kL──第一次オイルショック級の必要節約率20-38%。

新たに浮上した欧州ジェット燃料危機「Jet is the first one to go(ジェット燃料が最初の犠牲)」(Kpler)──Goldman Sachs(4/26)は世界精製品在庫が50→45日に低下、ナフサ・LPG・ジェット燃料が真っ先に枯渇と警告。ナフサも同じ「真っ先に枯渇する燃料」として日本の前哨戦として欧州で「見える化」される。

政府の「年越し可能」発言には4つの構造的トリック──①国産ナフサ990の継続前提・②川中製品在庫560の混入・③「中東以外3倍」の根拠不明・④ナフサ自体は法律上備蓄対象外。本資料はこれらを分解し、確率加重期待値で本来必要な節約率14.0%を可視化する。

MOST LIKELY
6月末
最頻シナリオ② 解放時期
PEAK SHORTAGE
38%
4月最深部の必要節約率(充足率62%)
EXPECTED SAVING
14.0%
確率加重年度平均 / 政府方針(0%)との14ptギャップ
UPSIDE PROB
55%
シナリオ①+②(5-6月末解放)
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5シナリオ統合 ─ 期待値サマリー

5シナリオ × 確率加重 / 5/10時点の最有力見通し
SUMMARY TABLE

5シナリオの充足率・節約率と確率加重期待値

シナリオ 確率 解放 12月時点
中東直接
12月対平時 9ヶ月
実供給
9ヶ月
平均充足率
年度平均
節約率
6月以降
節約率
① 5月末解放25%6月120100%2,29891.2%8.8%1.3%
② 6月末解放(最頻)30%7月120100%2,22788.4%11.6%4.9%
③ 7月末解放20%8月120100%2,16185.8%14.2%8.3%
④ 9月末解放20%10月9075%2,03080.6%19.4%15.0%
D 解放なし5%00%1,70467.6%32.4%31.6%
期待値(確率加重)100%10890%2,16686.0%14.0%8.0%

★期待値の解釈: 確率加重年度平均必要節約率は 14.0% ── これは 政府方針「節約不要=0%」と14pt超のギャップ。 最頻シナリオ②(6月末解放、確率30%)でも4-7月の4ヶ月不足が物理的に確定、累計▲293万kL。下振れシナリオ④+Dは合計確率25%(4回に1回)で、節約率20-38%(オイルショック級)が現実化。夏ピーク(6月以降)の必要節約率は8.0%──最頻シナリオでも7月までは充足率91%(9%節約必要)。

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供給マスター ─ 5シナリオ × 月別詳細

4ルート(中東直接・国産・米国産・非中東) × 9ヶ月
SCENARIO D 解放されない ─ 中東直接ナフサ供給ゼロ継続 確率 5%
調達ルート 平時 4月5月6月7月8月9月10月11月12月 9ヶ月計
中東直接1200000000000
国産(原油連動)110859999999953464747674
米国産10304050556060606060475
非中東43605060606565656565555
供給合計2801751892092142241781711721721,704
充足率100%62%68%75%76%80%64%61%61%61%67.6%
不足量(節約必要)0▲105▲91▲71▲66▲56▲102▲109▲108▲108▲816

累計不足 ▲816万kL / 平均充足率 67.6% / 最低充足率 61%。9月以降、原油備蓄枯渇で国産も連動消滅(110→53→46→47)し充足率61%まで急降下。シナリオD実現時は実害規模が他シナリオ比2-4倍と最大──年度平均節約率32.4%、第一次オイルショック級。MOU合意接近で確率は5%に縮小したが、決裂時は即時に拡大する。

SCENARIO ① 5月末解放 ─ 6月解放開始 確率 25%
調達ルート 平時 4月5月6月★7月8月9月10月11月12月 9ヶ月計
中東直接12000306090108120120120648
国産(原油連動)110859999999999999696871
米国産10304060584435293131358
非中東43605065634738323333421
供給合計2801751892542802802802802802802,298
充足率100%62%68%91%100%100%100%100%100%100%91.2%
不足量(節約必要)0▲105▲91▲26000000▲222

累計不足 ▲222万kL / 平均充足率 91.2% / 最低充足率 62%。最良ケース。4-6月の3ヶ月のみ不足(累計▲222、4月最深部で38%節約必要)、7月以降は完全回復。MOU合意接近で確率は25%に上昇したが、それでも約4回に1回の確率。

SCENARIO ② 6月末解放(最頻) ─ 7月解放開始 確率 30%
調達ルート 平時 4月5月6月7月★8月9月10月11月12月 9ヶ月計
中東直接120000306090108120120528
国産(原油連動)110859999999999999696871
米国産10304050605844353131379
非中東43605060656347383333449
供給合計2801751892092542802802802802802,227
充足率100%62%68%75%91%100%100%100%100%100%88.4%
不足量(節約必要)0▲105▲91▲71▲2600000▲293

累計不足 ▲293万kL / 平均充足率 88.4% / 最低充足率 62%本資料の最頻シナリオ・中央ケース4-7月の4ヶ月不足(累計▲293、4月最深部で38%節約必要)、8月以降は完全回復。原油版の最頻シナリオ(7月X-DAY)とパラレル構造で、ナフサも夏前に物理的不足が確定する。

SCENARIO ③ 7月末解放 ─ 8月解放開始 確率 20%
調達ルート 平時 4月5月6月7月8月★9月10月11月12月 9ヶ月計
中東直接1200000306090108120408
国産(原油連動)110859999999999999696871
米国産10304050556058443631404
非中東43605060606563474033478
供給合計2801751892092142542802802802802,161
充足率100%62%68%75%76%91%100%100%100%100%85.8%
不足量(節約必要)0▲105▲91▲71▲66▲260000▲359

累計不足 ▲359万kL / 平均充足率 85.8% / 最低充足率 62%4-8月の5ヶ月間不足継続(累計▲359、4月最深部で38%節約必要)、9月以降は完全回復。最頻シナリオ②(6月末)から1ヶ月遅れたケース。

SCENARIO ④ 9月末解放 ─ 10月解放開始 確率 20%
調達ルート 平時 4月5月6月7月8月9月10月★11月12月 9ヶ月計
中東直接120000000306090180
国産(原油連動)110859999999999809696852
米国産10304050556060606045460
非中東43605060606565656449538
供給合計2801751892092142242242352802802,030
充足率100%62%68%75%76%80%80%84%100%100%80.6%
不足量(節約必要)0▲105▲91▲71▲66▲56▲56▲4500▲490

累計不足 ▲490万kL / 平均充足率 80.6% / 最低充足率 62%4-10月の7ヶ月間不足継続(累計▲490、4月最深部で38%節約必要)、Dに次ぐ深刻シナリオ。年度平均節約率19.4%──第一次オイルショック級。MOU合意接近でDの確率が縮小した分の受け皿として20%の確率を持つ。

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政府方針 vs 本来必要な節約率

「年越え可能」レトリックの解体
CORE GAP

政府は「年越え可能」と説明する。
しかし本来必要なのは 年14.0%の節約 である。

政府方針(4/30発言)
0%
「年を越えて継続できる見込み」
節約呼びかけなし
→ 14pt差 →
本来必要(業界予測平均値)
14.0%
5シナリオ確率加重
期待値ベース

「年越え可能」の 4つ の欺瞞

政府の「年越え可能」発言(4/30)は、4つの数値を足し算した結果、必要量(2,520万kL)を超えるという算数。しかしこの足し算には4つの欺瞞が含まれる。

国産ナフサ990の継続前提
中東原油の備蓄で国内精製を続ける前提に依拠。しかしPart1の3トリック分解で 政府254日 → 実効71日(2.4ヶ月) に圧縮済み。9月以降シナリオDでは国産53→46→47万kL/月に急減。
川中製品在庫560の混入(別物換算)
PE/PPペレットを「ナフサ4ヶ月分」に含めている。化学プロセスは不可逆で ペレットはナフサに戻らない。これは製品在庫であって原料在庫ではない。
「中東以外3倍」の根拠不明(135万kL/月)
米・アルジェリア・ペルー等から戦前比3倍と説明(経産省4/30公式値: 5月135万kL超)。しかし本資料の米国産+非中東の物理上限は125万kL/月。政府数値135は10万kL/月超過。新規調達ルートの継続性は未検証。
ナフサ自体は法律上備蓄対象外
そもそもナフサは石油備蓄法の対象外(1987年「総合エネルギー調査会・石油審議会」決定)。日本のナフサ調達は中東4割・国産4割・その他2割。川中製品在庫は1.8ヶ月分のみ。高市首相「ナフサ年越し供給可能」(4/30)はナフサ自体の備蓄ではなく、輸入を毎月入れ続け、備蓄原油を精製し、川中在庫を取り崩しながら穴を埋め続ける継続運用シナリオ。境野春彦氏(資源エネルギー庁有識者委員 4/25東京新聞):「ナフサから分解された川中製品の在庫2ヶ月分をナフサ自体の2ヶ月分に単純加算しており正確でない」「現場では既に不足が生じている」
CONCLUSION
政府の「年越え」レトリックは 9ヶ月合計の足し算。しかし「合計が足りる」と「毎月足りる」は別問題。75%のシナリオ(D+②+③+④)で、年越えまでの途中で深刻な不足が発生する。