【お知らせ】

【最新情報!!】
”幸せのポートフォリオ” メルマガ会員→→こちらから登録

資産と知恵を継承する お勧めアンティークコインPart5

1709年 イギリス アン女王5ギニー金貨

本日は、イギリスの金貨のご紹介です。

アン女王、在位1702年~1714年

この肖像画は、恐らく若かれし頃か、だいぶ肉を削って描かれていますね(笑)
ブランデー好きのアン女王であり、コインに描かれているように”ふくよかな”お姿。日本でもガリガリよりも少しぽっちゃりが好きという方もいらっしゃるかと思いますが、まさにそのような見かけだったと言われております。

この5ギニー金貨は語る事がたくさんありますので、項目毎にご紹介していきたいと思います。

◆そもそも5ギニー金貨とは

1660年のチャールズⅡ世による王政復古(市民革命があったクロムウェルから)によって、その権限から、1663年にそれまでの不安定だった金貨(=お金そのもの)から良質な金貨の鋳造を指示します。そこで流通が始まり、1ギニー金貨が流通していきます。
その中で、2ギニー、5ギニーという大型の金貨も鋳造されますが、基本的にこれらは流通用というよりも贈呈や戦費といった国家費用として、そして記念として鋳造、使用されていたと憶測できます。また、発行枚数は記録に残っていない為、具体的な流通枚数は不明ですが、比較的状態の良いAUグレード以上は限りなく少なく、そしてイギリス人(イングランド人)にとっては、まさに国家の証として捉えられているものになります。現在19世紀以降の£→5ポンド金貨の価格が値が上がっていますが、そもそもイングランド人にとっては、古き良きものを大事にする=そこに価値を見出すという文化ですから(アンティーク王国とも言われます)5ギニー金貨>5ポンド金貨であるとよく言われます。

◆アン女王の5ギニー金貨の価値とは

(5)ギニー金貨を鋳造されている国王は、チャールズⅡ世、ジェームズⅡ世、ウィリアム&メアリー、ウィリアムⅢ世、アン女王、ジョージⅠ世、ジョージⅡ世 大きく7人います。(※ジョージⅢ世は試鋳貨)
その中で、比較的高額で取引されているのが、間違いなくこのアン女王です。
それは何故か?私にも明確な答えはありませんが、憶測では、イギリスの貨幣史上もっとも有名で最も幻と言われる金貨がこちらです。

アン VIGO 5ギニー金貨 です。
これは、発行枚数10枚強と言われており、当時イングランド艦隊がスペイン艦隊との戦争で、スペインのVIGO湾で勝利した記念に、スペイン艦隊から奪った金銀で作られたものになります。
価格は・・・1億円はくだらないと言われている逸品です。

※ビーゴ湾の海戦

これに影響されてか、されていないのか分かりませんが、他5ギニー金貨よりも高額で取引をされています。AUクラス以上で1000万円でギリギリ購入できるかどうかというところだと思います。

◆アン女王の功績とは

1、イングランドとスコットランドの併合!
地政学的に、イングランドの北側そして陸続きの敵国を味方につけた訳ですから、戦力を海側に全てシフトすることが出来たという事が大きいですね。
そして、この1707年に併合となりますが、その前後でこの5ギニー金貨の裏の紋章が変化します。


1706年までは「テューダー家」の象徴であるバラが真ん中に描かれています。このタイプはAU以上の鑑定枚数が20枚にも満たないので、その希少性からそれ以降のタイプよりも高額で取引されています。

そして、その後はこの世界的勲章の一つ、「ガーター勲章」が真ん中に描かれています。
ちなみに・・・何故ガーター勲章や、ハプスブルグ家の勲章でもある金羊毛勲章は日本の天皇が授与されているのか?私もまだ解明できておりません。。。どなたかご存知の方いらっしゃれば教えてください。実は天皇が世界の裏を握っている・・・などという陰謀論を聞いたことはありますが、ここはフェイクなのか事実なのかの判断がつくほど情報を取り切れていないので・・・。

2、もう一つは「メシュエン条約」!

恐らく歴史博士でもなかなか聞いたことのない条約だと思います。
が、しかしこの「メシュエン条約」はイギリス史上最も重要な条約と言っても過言ではない条約の一つになります。
これは、元々ポルトガルとイギリスとの友好通商条約になり、ポートワインなどの関税を引き下げるというものでしたが、何故か、この条約でこの当時ポルトガルが大航海貿易以降、新大陸のブラジルを占領していた金の採掘に関して、イギリスに受け渡すという内容が組み込まれています。ここからは予測ですが、当時ポルトガルはスペインと共に財政破綻後で金がない。ブラジルの金山もあるのは分かるが、そもそも発掘できるだけの資金がない。というところに来て、イギリスがやってきたということではないかと予測しています。いずれにせよ、イギリスはこの1700年代中盤から莫大な金を手に入れることになります。

グラフの通り、当時の世界の約半分、その前の時代の世界の1.5倍近くの金をイギリスだけが入手していた・・・だからこそ金本位制が実現でき、そしてその後の産業革命での資金調達が可能になったともいえる事実だと思います。

アン女王、ただのふっくらしたブランデー好きだけではなかった!?(笑)

◆この時代背景は・・・

8時間勉強会を含めて、本ブログでは何度もご紹介しておりますが、この時代の一番重要な出来事は、1648年のウェストファリア条約(体制)です。それまでの時代の異教徒(カトリック以外)は殺せ、奪え、犯せ、奴隷にしろ!という体制から

異教徒は殺さなくて良い by クリスティーナ女王(スウェーデン)

と、今では当たり前のことですが、信仰の自由が与えられ、続く国家間の争い=戦争でも民族を徹底的に殺すということではなく、いわゆる争いの格好をしている一つのパフォーマンスとして位置づけられていきます ※もちろんすべてではありませんが

そこから生まれる啓蒙思想、理神論=理性に基づいて行動しようという!これも今では当たり前ですが、国民人々の理性に基づいて信仰を自由に、そして平等、友愛という精神にて生きていくという人間が人間として生きていける時代になっていきます。
そこから生まれた(近代)フリーメイソン
イギリスで盛んになり、フランス、ドイツ系、ヨーロッパ各国に爆発的に広がっていきます。
ちなみに、このアン女王の後のジョージⅠ世の時代の1717年にロンドンでグランドロッジが設立されています。

このような時代背景と、彼女王室の功績や、国家体制、マネーの動き、他各国の動きなどを把握することで、このアン女王という人であり、この希少な5ギニー金貨という価値が、世界のコレクターがどう思いを馳せているのか?ということを理解できていくかと思います。

資産と知恵を継承するアンティークコイン

資産性としての価格変遷は?と言われそうですが、これらグレードがあるもの、そしてオークション実績があまりにも少ないものは正直取りにくい(というよりも取れない)のも正直なところです。ただ感覚として、5ポンド金貨の価格の高騰や一部金貨の値下がりと比較すると、この数年はじっくりと価格を維持~微増というところではないでしょうか。当社基準価格(国内外のオークション価格+ディーラー取引価格から算出)はこの2年ほどほぼ維持、一部高グレードは上昇というところです。

AUグレードで1000万円前後というところになっていくような金貨になりますが、やはりこの300年ほど前の時代の金貨はまさにアンティークコインのオリジナルであり、このアン女王の表と裏の顔を感じながらじっくりとその価値を温めていくことでしょう。
グローバル化している現在とこれから、まさにヨーロッパの貴族達が大切に300年間保管してきたからこそのこの愛された逸品を、日本人の資産として位置づける事は一つの資産ポートフォリオのグローバル化への一歩だと思います。